仏教は、解脱(げだつ)を目的としていました。
「解脱」とは、悩みから
解きはなたれ、
脱け出す
ことです。
しかし、仏教がネパールからガンダーラ方面に入った時、
救済
という考えが入り込みました。
ガンダーラにはアレクサンダー大王のヘレニズム(ギリシャ)文化が浸透していました。
「救済」は中国で、浄土信仰になりました。
浄土信仰の「救済」には、長安に入っていたキリスト教の「救済」要素も取り入れられました。
・最澄(767 - 822)は、唐から浄土関係の資料を比叡山に持ちかえりました。
・法然(1133-1212)は、浄土思想をもって比叡山を降り、浄土宗を開きました。
貴族のものであった仏教を万人向けのものにしました。
法然の浄土宗では「となえれば成仏」と教えました。
・法然の弟子・親鸞(1173- 1263)は、浄土宗をさらに先鋭化し、浄土真宗を開きました。
親鸞は、法然の浄土往生をさらに高めて行く事に力を注ぎ、自らが開宗する意志は無かったと考えられます。
阿弥陀如来(≒唯一の神=キリスト的なもの)だけが、人間を救済することになりました。
親鸞の浄土真宗では「信ずれば成仏」と教えています。
親鸞の浄土真宗の盛んなところでは、阿弥陀如来が絶対的な救い主です。
おがむのは、アミダサマだけです。
したがって、
怪力乱神、お化け、御霊信仰、迷信
は、勢いがありません。
日本で一番多い宗派は、親鸞の浄土真宗です。
「親鸞」とは、
インドの「世親(せしん)」と
中国の「曇鸞(どんらん、中国仏教の開祖)」
の浄土教の僧侶名を合わせたものです。
ユーラシア的、世界的です。
親鸞の思想、絶対平等主義は、キリスト教に近いといわれます。
紀元前500年の釈迦(シャカ、仏陀)がキリスト教に影響を与え、唐では景教となりました。
空海も、景教寺院を見ています。
日本仏教は諸宗教を包摂:仏教伝来ルート地図
(※)浄土
仏様の数は、三千仏といわれるほど、多いです。
それぞれの仏様は、自分の住む世界・浄土をもっています。
たとえば、薬師如来は、東方の瑠璃光(るりこう)浄土に住んでいます。
しかし、「ナンマンダブ」ととなえれば極楽浄土へ往生できるというアミダ信仰が、
他を圧倒してしまいました。
往生とは、西方極楽浄土へ「往って生きる」ことです。
(※)寿命
法然は80歳、親鸞は90歳まで生きました。
平均寿命が50歳にも満たない頃です。
「自力」の空海60歳、日蓮は60歳です。
「他力」の浄土宗は長命の傾向があるようです。
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